高年齢再就職給付金とは?2025年改正後の支給率10%・条件・受給期間

60歳以降に再就職すると、それまでより賃金が下がることが少なくありません。その減少分の一部を雇用保険が補うのが「高年齢再就職給付金」です。
結論から言うと、高年齢再就職給付金は60歳以上65歳未満で雇用保険の基本手当(失業手当)を受けたあとに再就職し、賃金が一定以上下がった人が受け取れる給付です。ただし2025年4月の改正で、支給率の上限が賃金の15%から10%に引き下げられました。
この記事で分かることは次のとおりです。
- 高年齢再就職給付金の仕組みと、高年齢雇用継続基本給付金との違い
- 2025年4月の改正で変わった支給率と、新旧どちらが適用されるか
- 受給の条件と支給期間
- 再就職手当とどちらを選ぶべきか
- 申請の方法と必要書類
※金額や条件は2026年10月時点で確認できた情報です。支給限度額は毎年8月1日に改定されるため、最新の内容はハローワークでご確認ください。
高年齢再就職給付金とは
高年齢再就職給付金は、雇用保険の「高年齢雇用継続給付」の一つです。60歳以降に再就職した人の賃金が、離職前に比べて大きく下がった場合に、その賃金の一定割合を支給します。
高年齢雇用継続基本給付金との違い
高年齢雇用継続給付には、次の2種類があります。違いは「基本手当(失業手当)を受けたかどうか」です。
| 給付 | 対象となる人 |
|---|---|
| 高年齢雇用継続基本給付金 | 60歳以降も基本手当を受けずに働き続け、賃金が下がった人(定年後の再雇用など) |
| 高年齢再就職給付金 | 60歳以降に離職して基本手当を受け、その後に再就職して賃金が下がった人 |
この記事では、後者の高年齢再就職給付金について解説します。
2025年4月の改正:支給率の上限が15%から10%に

2025年4月1日に支給率が改定され、上限が賃金の15%から10%に下がりました。
新旧どちらの支給率になるか
どちらの率が適用されるかは、60歳に達した日(その時点で被保険者期間が5年未満の場合は、5年を満たした日)で判定します。
| 判定日 | 支給率の上限 | 上限が適用される低下率 |
|---|---|---|
| 2025年3月31日以前 | 15%(旧制度) | 61%以下 |
| 2025年4月1日以降 | 10%(新制度) | 64%以下 |
インターネット上の古い記事では「最大15%」と書かれていることが多いため、自分がどちらの対象になるかを確認しておきましょう。
高年齢再就職給付金の受給条件

次の条件をすべて満たす必要があります。
- 60歳以上65歳未満で、基本手当を受けたあとに再就職したこと
- 再就職後の賃金月額が、基本手当の算定の基礎となった賃金日額の30倍の75%未満であること
- 基本手当の対象となった被保険者であった期間が5年以上あること
- 再就職した日の前日時点で、基本手当の支給残日数が100日以上あること
- 安定した職業に就いて、雇用保険の被保険者になったこと
- 同じ再就職について、再就職手当を受け取っていないこと
「支給残日数100日以上」に注意
特に注意したいのが、基本手当の支給残日数です。基本手当を受け取る期間が長くなるほど残日数は減るため、再就職のタイミングが遅いと条件を満たせなくなります。もともとの給付日数が少ない人は、再就職を急がないと対象外になる場合もあります。自分の残日数は、雇用保険受給資格者証やハローワークで確認しましょう。
支給額の計算と支給期間

賃金の低下率で支給率が決まる
支給額は、再就職後の各月の賃金と、基本手当の算定の基礎となった賃金(賃金日額×30)を比べた「低下率」で決まります。
低下率(%)= 再就職後の各月の賃金 ÷(基本手当の賃金日額 × 30)× 100
- 低下率が75%以上:支給なし
- 低下率が64%以下(新制度):再就職後の賃金の10%を支給
- 低下率が64%超75%未満:低下率に応じて10%から段階的に減った率で支給
計算例(新制度の場合)
離職前の賃金(賃金日額×30)が30万円で、再就職後の賃金が18万円の場合、低下率は60%です。64%以下なので、支給率は上限の10%になります。
18万円 × 10% = 月1万8,000円
旧制度(上限15%)の対象であれば、同じ条件で月2万7,000円となります。
支給限度額がある
賃金と給付金の合計には上限があり、厚生労働省の資料では合計で月37万6,750円とされています。この限度額は毎年8月1日に改定されるため、最新の額はハローワークで確認してください。
支給期間
支給期間は、再就職した日の前日時点の基本手当の支給残日数で決まります。
| 支給残日数 | 支給期間 |
|---|---|
| 200日以上 | 2年 |
| 100日以上200日未満 | 1年 |
ただし、65歳に達した場合は、その月までで支給が終わります。
再就職手当との違いと選び方
基本手当の受給中に早く再就職した場合、「再就職手当」を受け取れることがあります。高年齢再就職給付金とは、同じ再就職について併給できません。
- 再就職手当:再就職時にまとまった額を一時金で受け取る
- 高年齢再就職給付金:再就職後、最長2年間にわたり毎月の賃金に応じて受け取る
どちらが有利かは、支給残日数や再就職後の賃金、働き続ける見込みの期間によって変わります。2025年4月以降は支給率の上限が10%に下がったため、以前より再就職手当の方が有利になるケースも考えられます。手続きの前に、ハローワークで両方の見込み額を確認して選びましょう。
申請の方法と必要書類
申請は原則として勤務先(事業主)がハローワークに対して行います。本人は、勤務先から求められた書類を提出します。主な書類は次のとおりです。
- 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
- 賃金台帳、出勤簿など、雇用の事実や賃金の支払状況を確認できる書類(勤務先が用意)
- 年齢を確認できる書類(運転免許証など)
- マイナンバー(個人番号)
※必要書類は状況によって異なる場合があります。勤務先やハローワークに確認してください。
高年齢再就職給付金のよくある質問
Q. 定年後に同じ会社で再雇用された場合はどちらの給付ですか?
離職せず、基本手当を受けずに同じ会社で働き続ける場合は、高年齢再就職給付金ではなく「高年齢雇用継続基本給付金」の対象になります。いったん離職して基本手当を受けたあとに再就職した場合が、高年齢再就職給付金の対象です。
Q. パートやアルバイトで再就職しても対象になりますか?
雇用形態の名称にかかわらず、雇用保険の被保険者になる働き方で再就職し、ほかの条件を満たせば対象になります。週の所定労働時間などが雇用保険の加入条件を満たすかどうかを、勤務先に確認しましょう。
Q. 支給期間中に転職したらどうなりますか?
支給期間中に離職や転職をした場合の扱いは、状況によって異なります。転職を考えている場合は、事前にハローワークに確認してください。
給付だけでは生活費が足りない場合

求職中の生活費は公的な制度から確認
再就職が決まるまでの生活費に困っている場合は、借入より先に公的な制度を確認しましょう。失業中に使える給付や貸付については、こちらの記事で詳しく解説しています。
基本手当を受けられない人が職業訓練を受ける場合の給付と、その期間の生活費を借りられる制度については、こちらの記事で詳しく解説しています。
カードローンは年齢と収入の条件を確認
再就職して安定した収入があれば、カードローンの申込条件を満たす場合があります。ただし、申込可能な年齢の上限は会社ごとに異なり、多くの消費者金融では年金収入だけでは申し込めません。
| 会社 | 申込可能年齢 | 年金収入のみ |
|---|---|---|
| アコム | 20〜72歳 | 不可 |
| プロミス | 18〜74歳 | 不可 |
| アイフル | 20〜69歳 | 不可 |
| SMBCモビット | 20〜74歳 | 不可 |
| レイク | 20〜70歳 | 可 |
※2026年10月時点の情報です。最新の条件は各社の公式サイトでご確認ください。
アコム

| 審査時間 | 最短20分 | 融資時間 | 最短20分 |
|---|---|---|---|
| 利用限度額 | 最大800万円 | 実質年率 | 3.0%~18.0% |
アコムは「20歳から72歳までの安定した収入と返済能力を有する方」が申込対象です。パート・アルバイトの収入でも申し込めますが、年金のみの収入では申し込めません。
60歳以降は収入が減りやすい時期のため、借入は短期間で確実に返せる金額に限りましょう。年金を受給している人がカードローンを利用する場合の条件については、こちらの記事で詳しく解説しています。
返済が苦しくなったときは、日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センター(0570-051-051)や法テラスに相談できます。
まとめ
- 高年齢再就職給付金は、60歳以上65歳未満で基本手当を受けたあと再就職し、賃金が下がった人が対象
- 2025年4月以降に60歳に達した人などは、支給率の上限が15%から10%に下がった
- 賃金が75%未満に下がり、再就職前日の支給残日数が100日以上あることなどが条件
- 支給期間は、残日数200日以上なら2年、100日以上200日未満なら1年(65歳まで)
- 再就職手当とは併給できないため、ハローワークで見込み額を比べて選ぶ
- 申請は原則として勤務先が行う
高年齢再就職給付金は、条件や支給率が改正で変わっています。再就職を考え始めたら、早めにハローワークで自分が対象になるか、再就職手当とどちらが有利かを確認しておきましょう。



















