年金担保貸付は終了|2026年に年金受給者が使える代替制度と相談先

年金を担保にお金を借りられた公的制度「年金担保貸付」は、令和4年(2022年)3月末で新規の申込受付を終了しています。2026年現在、この制度で新たにお金を借りることはできません。
それでも、年金で暮らしている方が「急な出費に対応したい」「生活費が足りない」という状況に直面することはあります。そこで本記事では、次の内容をまとめて解説します。
- 年金担保貸付はどんな制度で、なぜ終了したのか
- 終了後に国(厚生労働省)が案内している相談先・代替制度
- 年金受給者が民間のローンを検討するときに確認したいポイント
- 「年金担保で融資します」とうたう違法業者への注意
結論から言うと、まずは市区町村の自立相談支援機関や社会福祉協議会に相談し、公的な支援制度を使えないか確認するのが基本です。民間のローンは、返済の見通しが立つ場合に限って検討しましょう。
年金担保貸付は2022年3月末で申込受付を終了
年金担保貸付は、独立行政法人福祉医療機構(WAM)が行っていた公的な貸付制度です。受給している年金を担保に、医療費や住宅の改修費、冠婚葬祭費などの資金を借りられる仕組みでした。
独立行政法人福祉医療機構の年金担保貸付事業は、令和4年3月末をもって申込受付を終了しました(厚生労働省)。
年金担保貸付では、返済分が毎回の年金から差し引かれる仕組みでした。そのため、借りた後は手元に入る年金が減り、生活が苦しくなりやすい点には注意が必要な制度でした。
受付終了前に借りた人の返済はどうなる?
受付終了前に契約した方の返済は、契約時の条件に沿って進みます。返済額や完済予定について不明な点がある場合は、契約時の書類を確認のうえ、福祉医療機構や手続きをした金融機関に問い合わせてください。
現在は「年金担保」で借りられる公的制度はない
年金はもともと、法律で原則として担保に入れることが禁止されています。年金担保貸付は、その例外として国が特別に認めていた制度でした。受付が終了した今、年金を担保にお金を借りられる正規の公的制度はありません。
年金受給者の方がカードローンなどの民間ローンを利用できるかどうかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
年金担保貸付の代わりに使える公的な相談先・制度

厚生労働省は、年金担保貸付の終了にあたり、お金に困ったときの相談先として次のような窓口・制度を案内しています。
| 相談先・制度 | 主な内容 |
|---|---|
| 自立相談支援機関 | 生活困窮者自立支援制度の相談窓口。家計や仕事、住まいの悩みを総合的に相談でき、必要な支援につないでもらえる |
| 生活福祉資金貸付制度 | 社会福祉協議会が窓口の公的な貸付。低利または無利子で生活費や一時的な費用を借りられる |
| 母子父子寡婦福祉資金貸付金 | ひとり親家庭や寡婦の方向けの貸付制度 |
| 高額療養費制度 | 1か月の医療費の自己負担が上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される |
| 埋葬費の支給など | 加入している医療保険から、葬儀・埋葬に関する給付が受けられる場合がある |
「お金を借りる」前に、そもそも給付や払い戻しで負担を減らせないかを確認するのが大切です。たとえば医療費がかさんでいるなら、高額療養費制度で自己負担が軽くなる可能性があります。
まずは自立相談支援機関に相談する
どの制度を使えばよいかわからない場合は、お住まいの市区町村にある自立相談支援機関に相談しましょう。家計の状況を一緒に整理し、使える制度を案内してもらえます。生活福祉資金の主な貸付(総合支援資金・緊急小口資金など)は、原則としてこの自立相談支援事業の利用が要件とされています。
生活福祉資金貸付制度の概要
生活福祉資金貸付制度は、都道府県社会福祉協議会が実施し、市区町村社会福祉協議会が窓口となる公的な貸付制度です。主な資金と条件は次のとおりです。
| 資金の種類 | 貸付の上限 | 利子 |
|---|---|---|
| 緊急小口資金 | 10万円以内 | 無利子 |
| 総合支援資金(生活支援費) | 単身:月15万円以内 二人以上の世帯:月20万円以内 (原則3か月、最長12か月) |
連帯保証人ありは無利子 なしは年1.5% |
| 不動産担保型生活資金 | 月30万円以内(土地評価額の7割程度まで) | 年3%または長期プライムレートのいずれか低い利率 |
緊急小口資金は、緊急かつ一時的に生計の維持が難しくなった低所得世帯・障害者世帯・介護を要する高齢者のいる世帯などが対象です。据置期間は貸付日から2か月以内、その後12か月以内に返済します。
なお、生活福祉資金は「返済できる見込みがあるか」も貸付の判断材料になります。申込みから入金までには一定の日数がかかるため、早めに相談することが大切です。
持ち家がある高齢者は不動産担保型生活資金も選択肢
自宅を所有している低所得の高齢者世帯であれば、自宅を担保に生活資金を借りる「不動産担保型生活資金」を利用できる場合があります。推定相続人の中から連帯保証人を1名立てる必要があるなど、条件は厳格です。
自宅を担保にお金を借りる仕組み(リバースモーゲージ)のメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
年金受給者が民間のローンを検討するときのポイント
公的制度は低利・無利子で借りられる反面、審査や入金までに時間がかかります。急ぎの場合や公的制度の対象外の場合に、民間の金融サービスを検討するときのポイントを確認しておきましょう。
預金や保険を担保にする方法
定期預金がある方は、定期預金を担保に借りる「総合口座の貸越」を利用できる場合があります。たとえばゆうちょ銀行では、担保にする貯金の預入金額の90%以内(1口座300万円まで)で借りられ、利率は担保の定期貯金の約定金利に0.5%を上乗せした水準です。カードローンより金利を抑えやすいのが特徴です。
定期預金を担保に借りる方法の仕組みや注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。
カードローンは「年金のみ」で申し込めるかを確認
大手消費者金融の多くは、収入が年金のみの方の申込みを受け付けていません。2026年10月時点の各社公式情報では、次のようになっています。
| 会社名 | 年金収入のみでの申込み | 申込可能年齢 |
|---|---|---|
| アコム | 不可(年金以外の安定収入があれば可) | 20歳〜72歳 |
| プロミス | 不可 | 18歳〜74歳(高校生不可) |
| アイフル | 不可 | 20歳〜69歳 |
| SMBCモビット | 不可(年金以外の安定収入があれば可) | 20歳〜74歳 |
| レイク | 可(年金証書などで受給額を確認) | 20歳〜70歳 |
銀行カードローンでは、三菱UFJ銀行カードローン「バンクイック」(申込前に専用ダイヤルへの連絡が必要)やauじぶん銀行カードローンが、年金収入のみでも申込みできると公式に案内しています。一方、千葉銀行のように年金収入のみは不可としている銀行もあり、対応は金融機関ごとに異なります。
※2026年10月時点の情報です。最新の条件は各社の公式サイトでご確認ください。
借りる前に返済計画を立てる
年金受給者の場合、収入が増える見込みは小さいのが一般的です。カードローンの金利は公的貸付より高いため、「毎月の年金から無理なく返せる金額か」を必ず計算してから申し込みましょう。また、消費者金融からの借入は総量規制により、年収の3分の1を超えて借りることはできません。
「年金担保で融資」をうたう業者は違法の可能性が高い
年金担保貸付が終了した後も、「年金を担保にお金を貸します」「年金受給者でもすぐ融資」などと勧誘する業者が存在します。しかし、年金を担保に取る貸付は法律で原則禁止されており、こうした業者は違法な貸付を行っている可能性が高いと考えられます。厚生労働省も、年金を担保にした違法な融資に注意するよう呼びかけています。
違法業者によくある手口
- 年金が振り込まれる通帳やキャッシュカードを預けるよう求める
- 年金証書の提出を求める
- 法律の上限を超える高い利息や手数料を請求する
- SNSや掲示板の「個人間融資」で勧誘する
通帳やキャッシュカードを渡してしまうと、年金を丸ごと引き出されて生活ができなくなるおそれがあります。少しでも不審に感じたら、契約せずに次の窓口へ相談してください。
- 金融庁 金融サービス利用者相談室:0570-016-811
- 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター:0570-051-051
- 警察相談専用電話:#9110
- 消費者ホットライン:188
返済が難しくなっている場合は、法テラスやお住まいの自治体、社会福祉協議会でも相談を受け付けています。
まとめ:年金担保貸付の終了後は公的な相談窓口から

- 年金担保貸付は2022年3月末で申込受付を終了しており、現在は利用できない
- 年金の担保提供は法律で原則禁止されており、年金を担保に借りられる正規の公的制度はない
- お金に困ったら、まず自立相談支援機関や社会福祉協議会に相談する
- 生活福祉資金貸付制度(緊急小口資金・総合支援資金・不動産担保型生活資金など)が主な代替手段
- 高額療養費制度などの給付で負担を減らせないかも確認する
- 民間ローンを使うなら、年金のみで申し込めるか・返済できるかを事前に確認する
- 「年金担保で融資」をうたう業者は違法の可能性が高く、利用しない
年金担保貸付がなくなった今、年金受給者の資金繰りは「借りる」より先に「使える支援を探す」ことが重要です。一人で抱え込まず、公的な相談窓口を活用しながら、無理のない方法で生活を立て直していきましょう。
















