住民税が払えない時の対処法|滞納の流れ・延滞金・分納と猶予の相談

退職や収入の減少で、届いた住民税の納付書を見て「払えない」と困っている方もいるでしょう。住民税は前年の所得に対してかかるため、収入が減った年に負担が重くなりがちです。
結論から言うと、住民税が払えないときは、納期限を過ぎる前に役所の納税窓口へ相談するのが最も大切です。放置すると延滞金が増え、最終的には給与や預金の差押えに進みますが、相談すれば分割納付(分納)や納税の猶予を受けられる可能性があります。
この記事で分かることは次のとおりです。
- 住民税の仕組みと、払えなくなりやすいケース
- 滞納した場合の督促から差押えまでの流れ
- 2026年の延滞金の割合と計算方法
- 分納・徴収猶予・換価の猶予など、相談でとれる対処法
- 借入で払う前に考えるべきこと
住民税の基本と、払えなくなりやすいケース
住民税は、都道府県民税と市町村民税を合わせた地方税です。その年の1月1日に住所がある市区町村が、前年1年間の所得をもとに課税します。
税額は「均等割」と「所得割」で決まる
住民税は、所得にかかわらず一定額がかかる「均等割」と、所得に応じてかかる「所得割」で構成されます。所得割の標準的な税率は合計10%(市町村民税6%・都道府県民税4%)です。
所得割額 =(所得金額 − 所得控除額)× 税率 − 税額控除額
均等割の額や一部の税率は自治体によって異なる場合があるため、正確な税額は納税通知書や自治体のホームページで確認してください。
特別徴収と普通徴収
- 特別徴収:会社員などの場合、勤務先が毎月の給与から天引きして納めます。
- 普通徴収:自営業者や退職した人などは、送られてくる納付書で自分で納めます。一般的に年4回の分割(6月・8月・10月・翌年1月が多い)か一括で納付します。納期は自治体の通知で確認してください。
払えなくなりやすいのはこんなとき
- 退職して収入がなくなったのに、前年の所得に対する住民税の納付書が届いた
- 退職時に残りの住民税が最後の給与から一括で差し引かれず、普通徴収に切り替わった
- 自営業・フリーランスで、前年に比べて売上が大きく落ちた
住民税を滞納するとどうなる?差押えまでの流れ

住民税を納期限までに納めないと、次のような流れで手続きが進みます。
- 納期限を過ぎると、翌日から延滞金がかかり始める
- 督促状が届く
- 催告書などで納付を求められる
- 財産(給与・預貯金など)の差押え
- 差し押さえた財産の公売など
督促状から10日を過ぎると差押えの対象になる
地方税法では、督促状を発した日から10日を経過した日までに完納しないときは、財産を差し押さえなければならないとされています(神戸市の案内)。
実際には、催告書や電話などで納付を促す自治体が多いものの、法律上は督促から短期間で差押えができる仕組みです。「まだ大丈夫」と考えず、督促状が届いたらすぐに対応しましょう。
差し押さえられる財産
差押えの対象には、給与、預貯金、年金、生命保険、不動産、動産などが含まれます。給与が差し押さえられると勤務先にも通知が届くため、生活や仕事への影響が大きくなります。
延滞金はいくらかかる?2026年の割合

住民税の延滞金は、納期限の翌日から納付日までの日数に応じてかかります。2026年の割合は次のとおりです(文京区の案内)。
| 期間 | 割合(年) |
|---|---|
| 納期限の翌日から1か月を経過する日まで | 2.8% |
| 1か月を経過した日以降 | 9.1% |
本来の割合(本則)は年7.3%と年14.6%で、毎年の特例基準割合によって上の割合に下がっています。年によって変わるため、最新の割合は自治体の案内で確認してください。
延滞金 = 税額 × 延滞日数 × 延滞金の割合 ÷ 365
1か月を過ぎると割合が大きく上がるため、払えないと分かった時点で早めに相談することが負担を抑えるポイントです。
住民税が払えないときの対処法

払えないと分かったら、督促状を待たずに市区町村の納税窓口(納税課・収納課など)へ連絡しましょう。相談すると、次のような方法を案内してもらえる可能性があります。
分割納付(分納)の相談
一度に納めるのが難しい場合、収入や生活状況を説明すれば、無理のない金額での分割納付を認めてもらえることがあります。相談の際は、収入・支出が分かる資料(給与明細、通帳、家計の状況など)を用意しておくとスムーズです。
徴収猶予(地方税法15条)
災害、病気、事業の休廃止などで一度に納められない場合に、原則1年以内で納税が猶予される制度です。
換価の猶予(申請型・地方税法15条の6)
一度に納めると生活や事業の継続が難しく、納税に誠実な意思がある場合に申請できます。
- 納期限から6か月以内に申請する
- 猶予期間は原則1年(さらに1年延長されることもある)
猶予を受けている間は延滞金が軽減されます。大田区の案内では、2026年は年9.1%が年1.3%になる例が示されています。
減免の対象にならないか確認する
災害で大きな被害を受けた場合や、生活保護を受けている場合など、自治体の条例に定める事情があるときは、住民税の減免を受けられることがあります。対象や手続きは自治体ごとに異なるため、窓口で確認してください。
生活そのものが苦しい場合は福祉の窓口へ
失業などで生活費そのものが足りない場合は、税の相談とあわせて、自立相談支援機関や社会福祉協議会にも相談しましょう。公的な給付や貸付を受けるまでの生活費をつなぐ制度については、こちらの記事で詳しく解説しています。
カードローンなどの借入で払う前に考えること

「借りてでも払った方がいいのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし、分納や猶予を相談できる住民税と違い、カードローンは毎月の返済が必ず発生し、金利も延滞金の割合より高い場合があります。
借入を考えてよいのは限られたケース
借入を検討するのは、次のような条件がそろっている場合に限りましょう。
- 数週間〜1か月程度で確実に返せる収入の見込みがある
- 分納や猶予の相談をしたうえで、それでも一時的な不足がある
- ほかに借入がなく、返済計画を具体的に立てられる
消費者金融のカードローンは、本人に安定した収入があることが条件で、借入残高は総量規制により年収の3分の1までです。失業中で収入がない場合は、カードローンではなく公的な制度を利用してください。
急な出費への対処法を幅広く知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
借金で税金を払うことが続く場合は相談を
税金や公共料金の支払いのために借入を重ねている場合は、家計全体の見直しが必要なサインです。日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センター(0570-051-051)や法テラス、自治体の消費生活センターなどに早めに相談してください。
携帯電話の料金など、ほかの支払いも滞りそうな場合の対処法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
住民税の支払いに関するよくある質問
Q. 自己破産すると住民税の支払いはなくなりますか?
住民税などの税金は、自己破産をしても支払い義務がなくならない債権(非免責債権)とされています。払えない場合は、破産とは別に役所の納税窓口で分納などを相談してください。
Q. 引っ越せば住民税を払わなくてよくなりますか?
住民税は、その年の1月1日に住所がある自治体が前年の所得に対して課税します。年の途中で引っ越しても、その年度の住民税の納税義務はなくなりません。
Q. 退職したら住民税はどうなりますか?
退職すると給与からの天引き(特別徴収)ができなくなるため、残りの税額は普通徴収に切り替わるか、退職時の給与から一括で差し引かれます。どちらになるかは退職時期や勤務先の手続きによるため、退職前に確認しておきましょう。
Q. 督促状を無視し続けるとどうなりますか?
督促状や催告書を無視すると、自治体は預貯金や給与などの財産を調査し、差押えの手続きに進むことがあります。差押えは事前の予告なしに行われることもあるため、「通知を開けずに放置する」のが最も危険です。払えない場合でも、まずは連絡して状況を伝えましょう。
Q. 分納の相談中も延滞金はかかりますか?
分割納付を認めてもらった場合でも、本来の納期限を過ぎた分には原則として延滞金がかかります。一方、徴収猶予や換価の猶予が認められると、猶予期間中の延滞金が軽減されます。どの方法が使えるかは、相談時に窓口で確認してください。
Q. 相談するときは何を準備すればよいですか?
納税通知書や督促状のほか、収入が分かる書類(給与明細、離職票など)、預金通帳、毎月の支出が分かるメモなどを用意すると、無理のない納付計画を立てやすくなります。
まとめ:払えないと分かったら、すぐに役所へ相談を

- 住民税は前年の所得に対してかかるため、退職や減収の年は負担が重くなりやすい
- 滞納すると延滞金がかかり、督促状のあとは給与や預金の差押えに進む
- 2026年の延滞金は、1か月までは年2.8%、それ以降は年9.1%
- 納税窓口に相談すれば、分納・徴収猶予・換価の猶予を受けられる可能性がある
- 猶予中は延滞金が軽減される
- 借入で払うのは、短期で確実に返せる場合に限る
住民税の滞納は、放置するほど延滞金が増え、差押えのリスクも高まります。「払えない」と分かった段階で役所に相談すれば、取れる選択肢は多くあります。一人で悩まず、まずは納税窓口に連絡してください。



















