親からお金を借りる・援助してもらうときのマナーと贈与税の注意点

お金が足りなくて困ったとき、まず頼りたいのが親という方も多いでしょう。ただ、親子の間でも、お金のやり取りがあいまいだと関係がぎくしゃくしたり、思わぬ税金がかかったりすることがあります。
この記事では、次の内容をまとめて解説します。
- 親から「借りる」場合と「援助(贈与)してもらう」場合の違い
- 親にお金の相談をするときの伝え方とマナー
- 贈与税で注意したいポイント
- 親に頼れない・断られたときの選択肢
結論として、借りるなら返済の約束を書面に残す、援助なら贈与税の扱いを確認することが、親子関係とお金の両方を守るポイントです。
「借りる」と「援助してもらう」はどう違う?
親からお金を受け取る方法には、大きく分けて「借りる(借入)」と「もらう(贈与)」の2つがあります。
| 借りる(借入) | 援助してもらう(贈与) | |
|---|---|---|
| 返済 | 必要 | 不要 |
| 税金 | 実態が借入なら贈与税はかからない | 金額や使い道によって贈与税がかかる場合がある |
| 注意点 | 返済の約束があいまいだと贈与とみなされることがある | 税務上の扱いを事前に確認する |
| よくある場面 | 一時的な生活費の不足、まとまった出費の立て替え | 住宅購入・結婚・教育などの資金 |
どちらにするかを最初にはっきりさせておくことが、後のトラブルを防ぐ第一歩です。「借りたつもりだったのに、親はあげたつもりだった」(またはその逆)という食い違いは、親子でもよく起こります。
親にお金の相談をするときのマナー

1.理由と金額を正直に伝える
「いくら必要か」だけでなく、「なぜ必要なのか」「どうしてお金が足りなくなったのか」を正直に説明しましょう。事情がわかれば、親も判断しやすくなります。理由をごまかして借りると、後で知られたときに信頼を大きく損ないます。
2.自分でできることをした上で相談する
支出の見直しや、使える制度の確認など、自分でできることを試した上で相談すると、親も安心して力を貸しやすくなります。
3.親の生活に無理がないか配慮する
親にも老後の生活があります。特に年金生活の親から借りる場合は、親の生活費や老後資金を圧迫しない金額かを考えましょう。断られても責めないことも大切です。
4.返済の約束を具体的に決める
借りる場合は、「いつまでに」「毎月いくら」「どうやって」返すかを具体的に決め、約束どおりに返しましょう。返済が遅れそうなときは、自分から早めに伝えることが信頼につながります。
5.援助を受けたら感謝と報告を
援助してもらった場合は、感謝を伝えるとともに、何に使ったかを報告すると親も安心します。
親からお金を借りるときは書面を残す
口約束だけだとトラブルや贈与の指摘につながる
親子間の貸し借りは口約束で済ませがちですが、金額が大きい場合や返済が長期にわたる場合は、借用書(金銭消費貸借契約書)を作っておくことをおすすめします。
書面があれば、貸し借りの金額や返済条件について親子で認識がずれるのを防げます。また、返済の実態がないと、税務上は「借入」ではなく「贈与」とみなされる可能性があります。書面を作り、実際に約束どおり返済している記録(銀行振込の履歴など)を残しておくことが大切です。
借用書に入れておきたい主な項目
- 作成日
- 貸主(親)と借主(子)の氏名・住所・署名押印
- 借りた金額
- 返済期限・返済方法(一括か分割か、毎月の金額と期日)
- 利息の有無と利率(設定する場合)
返済は手渡しではなく、口座振込にすると記録が残ります。
法的に有効な借用書の書き方や、作成時に注意すべきポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
援助してもらうときは贈与税に注意
年間110万円までの基礎控除
親からお金をもらう(贈与を受ける)場合、暦年課税では、1年間(1月1日〜12月31日)にもらった金額の合計が110万円以下なら贈与税はかからず、申告も不要です。これを超える場合は、贈与税の申告と納税が必要になる場合があります。
生活費・教育費として通常必要なものは非課税
国税庁によると、夫婦や親子などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために受け取った財産で、通常必要と認められるものには贈与税がかかりません。ただし、必要な都度、その目的のために直接使う場合に限られます。生活費名目でまとめて受け取って預金したり、投資や不動産購入に回したりした場合は、贈与税の対象になることがあります。
住宅・教育・結婚資金などの特例は条件を確認
住宅の購入資金や教育資金などを親から受け取る場合には、一定の条件のもとで贈与税が非課税になる特例があります。ただし、非課税となる金額や適用期限、必要な手続きは税制改正で変わるため、利用する前に国税庁の最新情報を確認するか、税務署・税理士に相談しましょう。
金額が大きい場合や、特例を使いたい場合は、受け取る前に税務署の相談窓口や税理士に相談するのが安心です。申告が必要なのにしなかった場合、後から加算税などがかかることがあります。
親に頼れない・断られたときの選択肢
親に断られた場合や、そもそも頼れる状況にない場合でも、次のような方法があります。
公的な支援制度を相談する
生活費が足りない場合は、市区町村の自立相談支援機関や社会福祉協議会に相談しましょう。社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度には、緊急かつ一時的に生活の維持が難しくなった場合に10万円以内を無利子で借りられる「緊急小口資金」などがあります。
目的別ローンを利用する
住宅や車など、使い道が決まった大きな出費には、住宅ローンやマイカーローンなどの目的別ローンがあります。カードローンより金利が低い傾向があるため、目的が明確なら先に検討しましょう。
一時的な少額の不足ならカードローンも選択肢
収入が安定していて、短期間で返せる少額の不足であれば、カードローンを利用する方法もあります。
- 銀行カードローン:上限金利が年14%前後の商品が多く、消費者金融より金利が低い傾向。ただし、審査や融資までに日数がかかる場合がある
- 消費者金融カードローン:最短で申込み当日に借りられる場合がある。アコム・アイフルは契約日の翌日から30日間、プロミスは初回利用日の翌日から30日間(条件あり)の無利息期間がある
※2026年10月時点の情報です。最新の条件は各社の公式サイトでご確認ください。
いずれの場合も、借りる前に返済計画を立て、必要な分だけ借りるようにしましょう。
急にお金が必要になったときの対処法を幅広く知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
ヤミ金・個人間融資は絶対に利用しない
親に頼れず焦っているときほど、審査がないことや、延滞歴があっても借りられることを強調する広告や、SNSでの「個人間融資」の誘いに注意が必要です。こうした業者は、登録を受けていない違法なヤミ金の可能性が高く、法外な利息や悪質な取り立てなど深刻な被害につながります。
貸金業者が正規に登録されているかは、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で確認できます。不審な業者に関わってしまった場合は、次の窓口へ相談してください。
- 金融庁 金融サービス利用者相談室:0570-016-811
- 警察相談専用電話:#9110
- 日本貸金業協会:0570-051-051
まとめ

- 最初に「借りる」のか「援助してもらう」のかをはっきりさせる
- 理由と金額を正直に伝え、親の生活に無理がないかも配慮する
- 借りる場合は返済の約束を具体的に決め、借用書と振込記録を残す
- 援助を受ける場合、年間110万円を超えると贈与税の対象になることがある
- 生活費・教育費として通常必要なものは非課税だが、まとめて受け取って貯めると課税されることも
- 住宅・教育資金などの非課税特例は、最新の条件を確認してから利用する
- 親に頼れないときは公的支援や目的別ローン、計画的なカードローン利用を検討し、ヤミ金は絶対に避ける
親子の間柄だからこそ、お金のことはきちんとしておくことが大切です。誠実に相談し、約束を守ることで、親子関係を損なわずに困難を乗り越えましょう。


















