うつ病で働けずお金がない時の公的支援|傷病手当金・自立支援医療・障害年金

うつ病で仕事を休んだり辞めたりすると、収入が減る一方で通院や薬の費用がかかり、「お金が心配で休めない」と感じる方も少なくありません。
結論から言うと、うつ病で働けないときは「収入を補う制度(傷病手当金・障害年金など)」と「医療費を減らす制度(自立支援医療)」を組み合わせて使うことで、治療に専念しながら生活を支えられる可能性があります。
この記事で分かることは次のとおりです。
- 休職中・退職後に受け取れる傷病手当金の条件と金額
- 通院費・薬代を軽くする自立支援医療(精神通院医療)
- 長期の療養で検討したい障害年金
- 労災、雇用保険、生活保護、公的な貸付の考え方
- 借入を考える前に知っておきたい注意点と相談先
※制度の金額や条件は2026年10月時点で確認できた情報です。手続きの前に、加入している健康保険や市区町村の窓口で最新の内容をご確認ください。
休職中の収入を支える「傷病手当金」
会社の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)に加入している人が、病気やけがで仕事を休み、給与が出ない場合に受け取れるのが傷病手当金です。うつ病などの精神疾患も対象になります。
支給の条件
- 仕事以外の病気やけがの療養のために休んでいること
- 仕事に就くことができない状態であること
- 連続する3日間の待期のあと、4日目以降も休んでいること(待期には有給休暇や土日祝日も含まれる)
- 休んだ期間に給与が支払われていないこと
支給額と期間
1日あたりの金額 = 直近12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3
支給期間:支給開始日から通算1年6か月
給与のおおむね3分の2が目安です。申請には医師の意見欄の記入が必要なため、主治医に相談しながら手続きを進めましょう。
退職後も受け取れる場合がある
次のような条件を満たせば、退職後も引き続き傷病手当金を受け取れます。
- 資格喪失日の前日までに、継続して1年以上の被保険者期間がある
- 退職日に出勤していない
- 失業給付(雇用保険の基本手当)と同時に受けていない
退職を考えている場合は、退職日の出勤の扱いなどで受給できなくなることがあるため、事前に加入している健康保険に確認しておくと安心です。なお、国民健康保険には、原則として傷病手当金の制度はありません。
通院費・薬代を軽くする「自立支援医療(精神通院医療)」

うつ病などの精神疾患で継続して通院治療が必要な人は、自立支援医療(精神通院医療)を利用すると、通院や薬の自己負担を減らせます。
自己負担は原則1割、月の上限もある
自己負担は原則1割になり、さらに所得に応じて1か月の上限額が決まっています。
| 所得区分 | 月額上限 |
|---|---|
| 生活保護 | 0円 |
| 低所得1 | 2,500円 |
| 低所得2・中間所得1 | 5,000円 |
| 中間所得2 | 10,000円 |
| 一定所得以上 | 原則対象外(「重度かつ継続」に当たる場合は20,000円) |
うつ病・躁うつ病は「重度かつ継続」の対象疾病に含まれます。
申請の流れ
申請窓口は住んでいる市区町村です。主治医の診断書などを提出し、受給者証の交付を受けます。受給者証の有効期間は1年で、毎年更新が必要です(治療方針に変更がなければ、診断書の提出は2年に1回でよいとされています)。
療養が長引く場合は「障害年金」も検討
うつ病などの精神障害で、日常生活や仕事に長期間支障がある場合は、障害年金を受け取れる可能性があります。
障害基礎年金の主な要件
- 初診日要件:その病気で初めて医師の診療を受けた日(初診日)が、国民年金の加入期間などにある
- 障害等級:障害の状態が1級または2級に当たる
- 保険料納付要件:初診日の前々月までの期間のうち3分の2以上、保険料を納付(免除を含む)している。特例として、初診日が2036年3月末までで65歳未満なら、直近1年間に未納がなければよい
年金額(2026年4月分から)
| 等級 | 年額 |
|---|---|
| 1級 | 1,059,125円 |
| 2級 | 847,300円 |
子がいる場合は、2人目までは1人243,800円、3人目以降は1人81,300円が加算されます。会社員などで初診日に厚生年金に加入していた場合は、障害厚生年金の対象になることもあります。
障害年金は書類の準備に時間がかかるため、年金事務所や市区町村の国民年金窓口に早めに相談しましょう。
その他に検討したい制度

労災保険(仕事が原因の場合)
長時間労働やパワーハラスメントなど、仕事が原因でうつ病を発症した場合は、労災保険の対象になる可能性があります。労災と認定されると、療養や休業に対する補償を受けられます。申請は勤務先を管轄する労働基準監督署で行います。業務上の病気と認められた場合、傷病手当金は対象外となります(業務外の病気が傷病手当金の対象のため)。
雇用保険の基本手当
退職後、働ける状態に回復して求職活動ができるようになったら、ハローワークで雇用保険の基本手当(失業給付)の手続きをします。病気ですぐに働けない場合は、受給期間の延長を申請できることがあるため、ハローワークに相談しましょう。傷病手当金と基本手当は同時に受け取れません。
生活保護
収入や資産、ほかの制度を活用しても最低限の生活費に満たない場合は、生活保護を受けられる可能性があります。生活保護を受けると、自立支援医療の自己負担も0円になります。相談は住んでいる地域の福祉事務所で行います。
生活福祉資金・つなぎ資金などの公的な貸付
給付が始まるまでの生活費が足りない場合は、社会福祉協議会の生活福祉資金(緊急小口資金は10万円以内・無利子)などの公的な貸付も選択肢です。原則として、自治体の自立相談支援事業の利用が要件になっています。公的な給付を受けるまでの生活費を借りられる制度については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ひとり親家庭の場合に使える手当や貸付については、こちらの記事で詳しく解説しています。
借入を考える前に知っておきたいこと
働けない状態でのカードローンは避ける
消費者金融や銀行のカードローンは、本人に安定した収入があることが条件です。休職中や退職後で収入がない状態では、審査に通るのは難しく、仮に借りられても返済の負担が療養の妨げになりかねません。
「無職でも借りられる」「審査なし」とうたう業者や、SNSでの個人間融資はヤミ金の可能性が高いため、絶対に利用しないでください。
失業中にお金を借りる方法と、その注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。
復職後に利用する場合も、無理のない範囲で
復職して安定した収入が得られるようになれば、パート・アルバイトでもカードローンの申込条件を満たす場合があります。ただし、体調が安定しないうちに借入を増やすと、再び休職したときに返済が負担になります。
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借入を検討する場合は、毎月の返済額が生活費を圧迫しないか、事前に確認しておきましょう。返済が苦しくなったときは、日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センター(0570-051-051)や法テラスに相談できます。
まとめ:制度を組み合わせて、治療に専念できる環境を

- 休職中は、傷病手当金で給与のおおむね3分の2を通算1年6か月受け取れる
- 条件を満たせば、退職後も傷病手当金を受け取れる
- 自立支援医療を使えば、通院・薬の自己負担は原則1割で、月の上限もある
- 療養が長引く場合は、障害年金の対象にならないか確認する
- 仕事が原因なら労災、生活費が足りなければ生活保護や公的貸付も検討する
- 収入がない状態でのカードローンは避け、違法業者には近づかない
うつ病の治療には時間がかかることもあります。お金の不安は一人で抱え込まず、主治医や病院の相談員(精神保健福祉士など)、市区町村の窓口に相談しながら、使える制度を一つずつ確認していきましょう。














